足がだるい

「失礼いたします。」
「おはようございます、お願いします。」

まず脈を診る。沈んだ脈。腎が問題か。

腹を診る。機能の弱りが診てとれる。

弱りが主体なので体力を補う必要がある。腎の可能性が増す。
もともと、精神的緊張の強い患者さん。
喉の渇きも常にある。舌はいくらか乾燥。
これらはすべて熱をしめす。
心身をクールダウンする機能が弱っている可能性が高い。
心身をクールダウンする働きは、腎の一部だ。
この働きを腎陰といい、その働きが低下するのを腎陰虚という。

腎陰虚に効果のある照海に触れてみる。
左右の差が大きい。
右のツボが充実し、沈んでいる。
左側の照海は空虚で、触れると浮いてくる。
この左のツボは効きそうだ。

腎陰虚に効果のある陰谷に触れてみる。
浮いてこない。このツボは効かない。
「ハイ、うつぶせになって。」

腎陰虚に効果のある腎兪を診る。
左が空虚で右が充実している点は照海と同じ。
ただし、触れても浮いてこない。このツボも却下。

「今日は調子は?」
「こうやってても足がだるいんです。」
「どの辺?」
「ふくらはぎ…」
「左右は?」
「両方です。」
「両方ね…」

どちらか一方がだるければ、湿濁の可能性がある。
両方となると、湿濁も考えられるが、弱りの可能性も高い。
「こうやって寝ていても、だるくて動かしたくなる…」
「そうですか。」
「それから、この辺が (と胸を押さえながら) ザワザワする感じ…」

じっとしていられないというのは、動=陽だ。
静=陰で、腎陰は静かにさせる働きであり、この働きが不足すると動的 (陽) になる。
足のだるさは下半身の問題。腎は下半身と関わりが深い。

症状からも腎陰虚が類推される。
体の反応と、患者さんの訴えとが合致する。
この左照海は確実に効く。
ここに鍼。

刺してすぐ脈を診ると、沈んだ脈が、すでに正常な位置に戻っている。
刺した状態で10分経過。すわってゴソゴソしているので覗いてみる。
「先生、だるいから叩いてるんですけど…いいですか?」
「ハハハ、いまは、辛抱して寝ておいてください」
「ハイ。」

20分経過。
「どうですか?」
「膝の内側がだるくなってきた」
「ふくらはぎは?」
「ふくらはぎ…感じないです。」

30分経過
「いま膝の内側は?」
「膝はだるくないんですけど、また、ふくらはぎがだるい…」
「最初と同じくらい?」
「いえ、ましです。」
治療をして、だるさや痛みの場所が変わるのは良い反応である。

50分後、鍼を抜く。
「今どう?」
「今ですか?今…感じてない…」
「胸は?」
「落ち着いてきました……て言うか、何もないです。楽。」

次に、百会左大敦に鍼してすぐに抜く。腎陰虚を起こす原因になった精神的緊張を緩める処置。
「ハイ、うつ伏せになって。」
腎兪の左右差が無くなり、ツボが左右とも浮いている。よく効いている。
「はい、今日はこれで結構ですよ。」

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