カゼ⇔椎間板ヘルニア

首の椎間板ヘルニアの患者さん。45歳女性。

初診は、いちど横になると起き上がるのに30分はかかるとのことで、座って治療した。が、ほどなくましになり、首の装具も取れて、身なりも動きも軽くはなった。でもまだ、首を回すよう指示すると、あまり回らない。

「ハイ、脈を見せてください。ウン、体の表面に冷えが入っていますね。東洋医学では「表証」っていうんですけど、これ、カゼみたいなもんだと思ってください。でもカゼって感じじゃないでしょ?」

「はい、特には…」

「クシャミもセキも発熱もなくても、東洋医学ではカゼと診断することがあります。カゼを引くと体の節々が痛いことってあるでしょ? 今は、カゼの影響で首が余計に回らないと考えてください。だから気をつけることはカゼの時と同じ。…お風呂は辛抱できるなら辛抱すること。冷たい飲食物は避けること。運動もよくありません。前回の治療でも、カゼって言ってたなあ。いつもじゃないけど、カゼだから気をつけて、っていうこと、多いでしょ? 体の奥のパワーが少ないと、体の表面のバリアが手薄になって、すぐに冷えが入って首に影響するんです。この首をちゃんと治すには、体力を養うことが大切なんですよ。」

「あの…昨日、外食して、それからお腹を壊しているんです…。」

「下痢? 外食するとお腹を壊しやすいって言ってましたね。」

「ハイ…」

脈診。
気虚 (気が虚の状態) が伺える。
気虚は脾臓の弱りによるもの。
脾臓が弱ると肝臓の条達が狂うという法則性がある。
この条達異常 (気滞) によって首に痛みが出ている。
プラス表寒 (体表面の気が、冷えによって機能異常を起こしている状態) 。

腹診。
臍に手のひらを静かに当てる。左上に向かって反応を確認。

左太淵を取穴。
20分後、抜鍼。

脈を診ていると、
「先生、鍼している間、みぞおちの左側の辺りがゴロゴロいってました。その辺がチクチク痛かったんです。でも治療してもらって楽になりました。」

「ん?ここ、痛かったんですか。」

「ハイ、先生が『カゼ』っておっしゃる時、いつも痛いんです。でも治療してもらうと治ります。ここに治療に来る前は、お腹がチクチクしだすと、本当にカゼを引いて寝込んでいました。」

「ほう、なるほど…。今みたいにカゼ症状がないのに『カゼ』って言われても、腑に落ちる部分があるんですね。」

「ハイ、おっしゃってること、なんとなく分かります。」

表寒→気滞→瘀血…と推測できる。

「そうですか。はい、座って。首を動かしてみてください。」

「さっきより動きます。」

「カゼが一枚かんでいるのを取るだけで痛みがましになるんです。一枚分を取るだけだけど、体はすごく安らいでいるわけです。」

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