カゼが治らない

39歳男性

「カゼが治らないんです。」
「いつからですか?」
「お盆からですから、一か月半前からです。39℃の熱で3日間寝込みました。熱が下がってから、ずっとスッキリしません。ずっと忙しくて、それでだと思うんですけど、もう一段落ついてゆっくりできているのに全然治ってこないんです。」
「症状は?」
「鼻が詰まっていて、咳が出ます。黄緑色の痰が出ます。やる気はあるんだけど、体が動きません。」
「熱は?」「熱はありません。」
・・・・・・・・・・・・・・
ここまでで注目すべきは、
①長期にわたって風邪が治っていない。正気の弱りは考慮すべき。
②痰の色。黄色いということは熱。
まだ、腑に落ちない。

・・・・・・・・・・・・・・・

とりあえず脈診。
表寒の脈がある。冷えのカゼだ。内傷病でも咳・痰・鼻閉は起こるが、この人は本当にカゼを引いている。
ただし沈脈。腎に負担がかかっている。
原穴鍼でも左太谿がTOP。
汗はどうか。自汗はない。桂枝湯証ではなさそうだ。
舌を診る。淡紅舌薄白苔。大きな異変は舌では伺えない。ただし、やや潤。これは寒証を裏付ける。これと痰の黄色さをどう考えるか。

手がかりを探しながら問診。
「寒気はあります?」
「いえ。」
「食欲は?」
「食欲はあります。」
「睡眠は?」
「寝てますが、夜中おしっこに起きるようになりました。だから眠りが浅いのかもしれません。」

・・・・・・・・・・・・・
夜間尿があるということは、腎気あるいは腎陽に問題がある可能性がある。
「足、冷えません?」
「冷えるんです。動いていると感じませんが、家に入ると冷えます。今も冷えてます。」
触ってみると確かに冷たい。
腎陽の弱りが可能性として非常に高い。
・・・・・・・・・・・・・

1か月以上も表の寒邪が取れないということは、寒邪を体外に押し出す陽気が足りないから。陽気のもとは腎臓にある。1か月以上、非常に忙しかったところにカゼを引き、腎を弱らせた。この人の元々の体質として、その弱りは腎陰には出ず、腎陽に出た。腎は下半身を支配する。そのため、腎陽の弱りによる冷えは、下半身を中心としたものとなる。急激な疲労に、秋の涼しさも加わって、下半身が急激に冷えた。それによって、陽気 (熱) は、寒に阻まれ、上半身に集まる。表寒が表面を覆って熱が外に逃げられない。これが鼻や喉の炎症・黄緑色の痰に現れている。…

このように病因病理を立てた。

治療…
左天井に鍼。30分置鍼。

「足の冷えはどうですか?」
「あったかくなりました。」
「鼻はどうですか?」
「まだ詰まってます。」

脈を診ると表寒がまだある。加えて気虚がある。

左太淵に金製古代鍼をかざす。
その後、10分ほど休んでもらう。その間、よく寝ている。

「鼻はどうですか?」
「ましになりました。」

コメント

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました