頭痛 (14歳) …治療の実際

14歳女性

今朝、目が覚めた時から頭が痛い。
部位は、両方のこめかみ。
昨日、理科の授業で、有毒ガスをともなう実験があった。臭かった。
その時、頭が痛くなった。他にもそういう生徒がいた。まもなく頭痛は癒えたが、それが原因かなあ、とのこと。
定期試験前なので、何とかしてほしい。

診察

舌診・・・

舌尖紅刺。白膩苔。

脈診・・・

急性の症状なので、まず表証を疑ったが、それは認められず。
男脈。幅有り。四霊すなわち、滑肉門・天枢・大巨・胃兪・三焦兪・腎兪の可能性。
左沈脈。

腹診・・・

天枢は左実、右虚。大巨も左実、右虚。大巨の方がはっきりしている。取れにくそうな邪ではないので、正気は邪気に勝つだけの力があることが推定できる。
肝相火も左実右虚。はっきりしているので、少陽枢機のチョウツガイは錆びていない。
空間は、左下後に虚の偏在。

※実…気 (機能) がギュウギュウ詰めの満員電車状態。
虚…気がガラガラの状態。

原穴診・・・

丘墟が左実、右虚ではっきりしている。
肝相火を中心として、左胆経が実になっている。

左下後にあたる左腎兪を探る。生きた反応あり。腎兪は左実中虚、右虚中実。邪の絶対量は右>左なので、左が虚している。

病因病理

左胆経が実で、左半身が実に偏る中、左腎兪だけが虚している。左右のシーソー運動がとまっているのは、この虚があるから。有毒ガスによって引き起こされた気滞は、腎虚がなければ解消されたはず。それが解消されなかったので、一晩寝て静止状態で気滞がupし、陽亢を生じて頭痛が出た。

左右均等に頭痛があるのは、腎虚がベースなので、左右差が出にくかったといえるかもしれない。
こめかみの痛みとして出ているのは、定期試験前ということもあるし、有毒ガス (臭い・先入観) もあって、ストレスによる気滞が少陽胆経に影響したと考えられる。ストレスは肝臓・胆腑に影響しやすい。

腎虚が解消されれば、左右のシーソーが動き出し、気滞は取れるはず。陰虚陽亢型で陰虚>陽亢の頭痛だ
※正確には陰虚まで進んでおらず、腎気虚の段階。腎気の固摂作用が低下している。概念を簡略化するために表現方法をまとめた。もっというならば、慢性的な腎虚ではなく、急性の腎虚といえる。

治療

腎兪に1番鍼を刺入。表在の邪を払い、深在の虚を補う。5分置鍼後、抜針。

治療後、肝相火の左右差は変わらず。しかし、左下の虚の偏在は取れているので、そのうち動くはず。

効果

直後の反応

「痛み、どう?」
「さっきと同じです。」
「もう少しこのまま休んでいてな。」

そのまま20分休んでいてもらう。

再び診察。肝相火の左右差が消失。丘墟も左右差なし。胆経の左右差がなくなった。

「痛み、どう?」
「あっ、ましです。」
「最初10とすると、今どれくらい?」
「5くらいです。」
「やっぱり両方痛い?」
「いえ、右だけです。」
「そうか、左は取れた?」
「はい。」
「そうか。片一方だけになったら、痛みは取れやすくなるから・・・今日はこれで様子みましょか。」

その後の経過

その後の経過を後日に伺った。

まず、治療直後に右に残っていた痛みは左に移動。それとともに痛みの程度は半分になる。
それからまた右に移動。痛みの程度は変わらず。
それから、その右が取れて、痛みが消失。
それが、治療して2時間後のことだったそうだ。
翌日も痛みは出なかった。

ヤジロベーみたいに揺れながら、元に戻る。
人体の機能に宿る陰陽。
その陰陽のシーソー運動 (消長関係) をうまく引き出すことができた。
理想的な治り方。
有難い、うれしい。

陰陽って何だろう をご参考に。

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