便秘…東洋医学から見た6つの原因と治療法

便秘。解消法はいろいろ言われますが、決め手がないのも事実。効果がなかったら、便秘薬を飲むしかありません。しかし、この便秘薬が曲者。どう曲者なのかは、追ってご説明します。

また、便秘をすると精神的に不安定になったり、不眠になったりします。どうしてでしょう。

また過敏性腸症候群という複雑な症状も、このページの中で説明していきます。

いろいろな病気に便秘を伴う場合、便秘が解消されないと、病気は良くなりません。便秘について3000年以上にわたって考え実践し続けてきた東洋医学の視点から見つめてみましょう。

その前に…。
東洋医学は人体をどのように捉えているのでしょうか。

「東洋医学的な鍼灸と一般的な鍼灸…違いが分かる6つの診察法」では東洋医学オリジナルの診察法について説明しています。

「東洋医学の『気』って何だろう」では、東洋医学がなぜ「たとえ」を多用するかについて説明しています。

 

腸内と体との関係

脾臓がステージ

便通を考える上で、基本となるのは脾臓です。これは、西洋医学でいう脾臓とは全く異なる概念です。

肝臓・脾臓・腎臓などの言葉は、東洋医学では意味が全く違います。
≫「五臓六腑って何だろう」をご参考に。

東洋医学は、なぜ「たとえ」を多用するのでしょうか。
≫「東洋医学の気って何だろう」をご参考に

脾臓とは…食物を摂り、消化し、栄養分のみを選別して吸収し、その栄養分は各細胞に配られ、活動のためのエネルギーに変化して、最終的に栄養分そのものが消えて無くなる…というルートを動かす機能のことです。いらないものは大小便として排泄するルートも脾臓が担っています。

西洋医学でいう消化器に、+αの部分がありますね。この+αの部分は、運化機能と呼ばれます。大便をうまく肛門に向けて動かす力も、この運化機能の一部です。

脾臓は「土」

運化を理解するうえで、もっとも重要なのが、脾臓が「土」と符合するという点です。実は、これが脾臓の本質です。

雑木林に代表されるように、健康的な土は、多種多様な草木をはぐくみ保持します。そして樹木の葉に守られ、豪雨は土に打ちつけることなく、また、深く張った樹木の根は、土が流れるのを防ぎます。さらに、草木・動物の死骸が生み出す有機物と、それを分解する微生物によって、土はスポンジのようにフワフワで、保水性と通気性を持っています。また保水された地下水はジワジワと網の目のように くまなく水を行きわたらせます。

腸内環境と符合することにお気づきでしょうか? 腸内にも多種多様の食物があって、体を肥やしますね。腸内の微生物 (乳酸菌など) が非常に重要なことはよくご存じでしょう。

制水

この保水性は、制水機能と呼ばれるものです。スポンジのような土が、雨水をすぐには流れないように保つ力のおかげで、栄養分をチャージするためのストックとして、腸内に保つことができます。

制水機能は、体液 (血液・リンパ液・唾液・涙・大小便) を適度に体にとどめ、適度に排出して、体内環境を一定に保つ働きです。制水ができなくなると、大雨で土砂崩れが起こるように、下痢や出血などが起こります。

運化

通気性や地下水を、ジワジワと網の目のように行きわたらせる作用に符合するのが運化です。河川がくまなく行きわたる様子と考えてもいいです。

すなわち、制水機能によって一定に保たれた体液は、体全体にしみわたり循環します。これが運化機能です。これには、土の温かみが必要です。温かい土でなければ、凍った土では水が動けません。凍った土ではスポンジになりませんから、保水性もありません。

「温かいスポンジのような土」があってこそ、制水も運化も機能する、ということです。

昇清と降濁…うつや不眠との関係

また、脾臓 (土) は、清 (清水) と濁 (泥塵) とに分け、湧き水を上に持ち上げる力 (昇清作用) があります。上澄みができるからこそ、下に泥塵 (大便) が下ることができるのです。

逆に濁 (大便) が下に降りないと、清は上に昇れません。すると脳や心臓に清気が届かず、不眠や精神不安定を起こしやすくなります。うつで便秘を伴う場合は、自然に通じがつくように治療することも重要なのは、そういう理由があります。

脾の昇清と、腎陽の気化の力が合わさって、上に昇発し肺に届く。昇清と気化があらゆる循環の原動力であると言える。

便秘薬が効かなくなる理由

ちなみに、一般的な便秘薬は、 みな冷やす薬です。冷やすと、消化吸収が悪くなり、腸が一時的に収縮して便が通じます。

邪熱が勝った便秘にはこれに勝る薬はありませんが、それ以外のものに処方すると、「冷えた土」となり、とりあえず排便は行われますが、脾臓を非常に弱らせます。そうすると、血が生産されにくくなり、薬を飲まなければ、便は余計に固くなります。また、運化機能も弱くなるので、蠕動運動も鈍くなります。

≫「東洋医学の脾臓って何だろう」をご参考に。

 

原因と治療法

薬などなくとも、制水・運化の2つの機能が正常であれば、大便は適度な硬さをもって、スルスルと気持ちよく排泄されることでしょう。便秘を治すには、これを邪魔する要素を特定し、治療すればいいというわけです。

以下に、便秘の原因と治療法を列挙します。

1.ストレスによる便秘

 

(1) 肝鬱 (気滞) によるもの…ストレスの便秘

ストレスがあると、肝臓の条達 (のびやかに流通させる機能) がうまくいかなくなります。この状態を肝鬱と言います。結果として、滞りを生じます。これを気滞と言います。気滞は、脾臓の持つ運化機能を滞らせ、便秘になります。

こういう説明もできます。口から肛門へと、下に降りていくのが順当です。しかし気滞が高じて気逆となり、上に気が昇ると、本来下に降りようとするものが降りれなくなり、便秘となります。

どちらにしても、腸から肛門に向けての運化が滞るので、大便が動かず、長く腸内にとどまります。腸内から全身への運化も滞りますが、便は長く腸内にあり、少しずつ吸収が行われるので、下痢になるわけでもなく、カチカチになるわけでもありません。普段、便通に問題ない人でも、旅行で便秘になることがあります。これは心理的緊張 (興奮・ストレス) が便秘につながる実例です。

うまく出た後は、スッキリします。気滞が取れたからです。スッキリしないのは気滞が取れていない証拠です。運動すると通じがつくのは、このタイプの便秘です。普段からイライラしやすいのも特徴です。

気滞は滞りです。お腹の張りや腹痛を伴います。

肝鬱を緩め、気滞を取り去る治療 (瀉法) を行います。
百会・行間・曲泉・肝兪 など。

≫「気滞とは」 (正気と邪気って何だろう) をご参考に。
≫「東洋医学の肝臓って何だろう」をご参考に。

(2) 脾虚による便秘

便秘か下痢かを決める条件

脾虚でも便秘になります。運化機能が弱って滞れば、便が下に進まず便秘になります。

そのまえに、脾虚の場合、便秘と下痢の双方があり得ます。脾虚の便秘・下痢のそれぞれの病理を考えましょう。

体が弱り、土そのものが痩せてくる。これが脾虚です。一般的に、脾虚が起こると、運化機能も制水機能も衰えます。制水が衰えると、水を含んだスポンジが、スポンジではなくなるわけですから、一気に水が流れ落ち、下痢になります。運化機能が衰えて腸内で便が滞っていたとしても、制水そのものができないのですから、運化の滞りごと下ってしまいます。

脾虚で便秘になるためには、制水機能は保持しながらも、運化機能のみが衰えるという条件が必要です。制水も運化も、脾臓の土としての機能です。運化のみがやられる条件とは?

ストレスの傷あと

「 (1) 肝鬱 (気滞) によるもの」で説明した、「気滞は脾臓の持つ運化機能を滞らせる」思い出してください。気滞が長期化して、めぐりが悪い状態が続くと、めぐりそのものを生むエンジン (運化) が弱ってきます。そのエンジンの弱りの方が、気滞よりもウェイトが上になると、脾虚による便秘、ということになります。気滞は、さほど制水には影響しません。

つまり、肝鬱気滞が原因であるがために、脾臓 (運化と制水) のなかの、「運化の部」のみに負担がかかってしまった。もうストレスが なくなっていたとしても、体力が弱ってしまっているので、慢性的に便秘となります。

大便が固いわけでもないのに、いきんでも、なかなか出ません。エンジンの弱りがあるので、排便後に脱力感があるのが特徴です。全身に栄養を運化できないので、体がだるく、疲れやすさを伴います。

脾臓という体力を補う治療 (補法) を行います。
足三里・公孫・中脘・脾兪・胃兪など。

(3) 血虚…かたい便秘

体全体が乾く

血虚による便秘は、固くて出ない便秘の代表です。

血虚とは、血の弱りのこと。血とは…気と水をストックする場所のことです。ゆえに、血は栄養分と水分に富んでいます。

皮膚も血色がよいとスベスベしていますね。腸も血に満たされているとスベスべと潤いがあります。当然、大便もそういうものになるということです。腸内には潤いがあり、その潤滑油があるおかげで、固形の大便は適度な柔らかさを保てるし、肛門に向かって滑らかに動くことができます。潤い間の元は水分です。水分のソースは血です。たとえば目のうるおいは涙ですが、涙は血の変化したものです。なので、血が弱ると、水が供給できなくなり、乾いてしまいます。脾の運化機能が正常でも、大便が固くて滑りが悪いと、大便は出ません。

便秘と肌荒れ

血虚で潤わせることができず、乾くと、腸の内壁も、皮膚も同時に乾きます。淵から肛門にかけての穴をもつ人体は、輪切りにする前のバウムクーヘンのようなものです。バウムクーヘンの表面が乾くということは、外側も、穴の内側も乾くということですね。固い便秘の時は、肌荒れを伴うことが少なくありません。

 

また、こうも言えます。血虚があれば血と気のシーソー関係により、気滞が生じるので、脾臓の運化機能は滞ります。ですから、腸の蠕動運動も弱くなります。

血虚の原因

血虚を起こす原因は2つあります。

①血の生産不足によるもの
血を作るのは脾臓である。脾臓が弱ると栄養が吸収されず、血が作られなくなる。

②血の使い過ぎによるもの
出血過多が代表だが日常ではあまり見られない。肝鬱 (ストレス) や目の使い過ぎによって血が浪費され起こるケースが多い。

ストレスによる血虚の病理

肝臓には蔵血作用があります。蔵血作用とは、血を支配しストックする機能のことです。血というエネルギー源をもとに、肝臓は条達機能を発揮します。

肝鬱 (ストレス) が起こると、肝臓の燃費が悪くなり、肝臓に貯金してある血を大量に使って、何とか条達させようとします。血を使いすぎるのです。当然、肝臓の血のレベルは下がります。これは、イコール全身の血のレベルが下がるということです。

「脾臓は土 」のところを思い出してください。そこで述べた樹木は、肝臓 (木) の働きを暗示します。山林における樹木が、大量の地下水を蓄える機能を持つように、肝臓は血という潤いの元をストックしてくれます。同時に、地下水を根から吸い上げ、自らの糧ともします。

血の使い過ぎが原因

ちなみにもし、樹木が針葉樹のみに偏る (肝気偏旺) と、土から雨に打たれて流れ砂地となって保水能力が低下するうえ、根から水を吸い上げることは止めないので土は痩せてさらに保水能力を失っていきます。保水能力を失うということは、雨がなければ土は乾き、雨があれば土砂災害を起こしやすいということです。

保水とは制水です。もし、肝臓と関わりがなく、脾虚のみが原因の血虚であれば、脾虚で運化だけでなく制水機能が落ちているはずなので、大便はカチカチにはならず、下痢になるはずです。

肝鬱が原因であれば、血のみを消費し、脾の運化を滞らせるのみで、脾の枢軸である制水までは侵していない状態が考えられます。ですから、大便がカチカチになるのは血の生産不足ではなく、血の使い過ぎ (ストレス・目の使い過ぎ) が原因で起こる血虚といえます。

老人性の便秘

よって、老人性の便秘は「②血の使い過ぎによるもの」が原因と考えられます。年をとると大便が硬くなって出にくいということがよくありますね。

もともと老化で潤いを作る働きが低下しています。東洋医学では、陰が尽きたときに寿命を迎えると考えますが、陰とは血の原料です。老化で、それでなくても血が効率よく作れない。

そのうえに肝鬱が作用するのです。若いときは出来ていたことが、年を取るとできなくなる。気持ちだけが先走って体がついてこない。気が勝っている状態で、血を余計なことに使いすぎてしまう。

おまけに、ひまだからテレビばかり見ている。一晩中ラジオをつけている。白内障の手術でますます目をよく使う。こんなことが硬い便と関係があったのです。

不治の便秘

血虚があれば、三陰交に虚の反応が出ます。ところが、それが出ないのに便がカチカチになることがあります。そのケースは、便秘を気にしすぎてヨーグルトや果物などの冷やすものを無理に食べていた人で見られました。気にしすぎるという点で血虚を起こし、冷やすという点で脾の運化を弱らせます

体 (三陰交) に反応が出ないということは、体からは治せないということでしょう。いくら血虚を治そうとしても治りません。

『史記』扁鵲倉公列伝に「巫を信じて医を信ぜず」という一節がありますが、これは不治の病を示すものです。つまり、巫女 (迷信) の言うことには従うが、医者 (医学) の言うことには耳をかさない…ということで、こういう人の病気は決して治ることはない…ということです。本人が何を信ずるか、それが治療が効くか効かないかを決定するのです。

もともと「気にしすぎ」で血虚を起こしているため、ヨーグルトをやめさせるのは容易ではありません。しかし、もし巫 (ヨーグルト) を信じ、医 (東洋医学) を信じなければ、この便秘は治ることがないのです。それを三陰交の無反応が雄弁に物語っているとは言えないでしょうか。ある意味での逆証です。生活指導を信じ、それを行うことでしか治せない症状です。

医者の言を信じ受け容れると、三陰交の虚の反応が現れます。体から治す素地ができたのです。

 

肝臓の蔵血機能を補う治療 (補法) を行います。
肝兪・膈兪・太衝・三陰交・血海・公孫・神門など。

≫「東洋医学の血って何だろう」をご参考に

 (4) ストレスによる下痢…肝の横逆

以上、ご説明した3つは、すべてストレス絡みです。ついでなので、ストレス性の下痢についても触れておきます。「 (2) 脾虚による便秘」でも少し触れましたが、もう少し詳しくします。

ストレスがひどいと食欲がなくなる…と方がいます。一方、ストレスがあっても、そういう症状は出ない、むしろ食欲が増す…という方もいます。ストレス食いです。これら両タイブは、生まれつきの体質で決まるようです。食欲がなくなるタイブの人は、体質的に、「肝臓の横逆」が起こりやすい人です。肝臓の横逆とは?

ストレスは肝臓の「よどみなく動かす力」 (正しい肝気) を邪魔します。肝鬱ですね。すると「よどみなく動かす力」が、負の力に変化して、脾臓をダイレクトに攻撃することがあります。この病態を肝臓の横逆と言います。横逆が起こると、脾臓は、土そのものが痩せてしまいます。運化機能だけでなく、制水機能までもが奪われてしまいます。運化が衰えると食欲がなくなり、制水が衰えると「よどみなく下痢にさせる力」 (誤った肝気) と相まって、ストレス性の下痢が起こります。

どの程度のストレスで横逆が起こるかは、人それぞれの体質によるようです。横逆は、肝臓がダイレクトに脾臓全体 (運化も制水も) を攻撃した状態です。「 (2) 脾虚による便秘」 で説明したような「肝鬱気滞が運化に影響する」といったような、やさしいものではありません。

詳しくは下記をご参考に。

≫「肝と脾の関係 」 (肝臓って何だろう 続編) をご参考に。
≫「甘いものの行き着く先 」 (肝臓って何だろう 続編) をご参考に。
≫「肝脾不和 」 (肝臓って何だろう 続編) をご参考に。
≫「ストレス食いの病理 」 (肝臓って何だろう 続編) をご参考に。

 (5) 過敏性腸症候群

急転直下の変化

肝鬱気滞は滞りです。滞ってイライラします。

それがピークに達すると、こんどは、脾虚が主役になります。持ちこたえる力がない。体がだるい、やる気が出ない。

躁から鬱へ。肝臓が原因なのか、脾臓が主に原因になっているのかで、症状が変わります。

このように、肝鬱と脾虚はひとつながりです。この流動的な病態が、そのまま便通異常となることが分かります。すなわち、肝鬱気滞で便も滞る。脾虚で持ちこたえる力がなければ、便もむなしく流れ出ます。

ここに多くは血虚が絡みます。肝鬱による血虚レベルなら便はカチカチに、脾虚による血虚レベルなら制水も機能せず下痢に…。

また、体質的に横逆を起こしやすい人は、ストレス性の下痢が絡みます。すなわち、肝鬱気滞から脾虚不制水に、一瞬にして急転直下の変化を見せます。

複雑な症状

こうした複雑で、流動的かつ急激な変遷が、近年増加しつつある深刻な便通異常を生み出します。過敏性腸症候群です。

●便秘と下痢の繰り返し
●便秘は無く下痢のみ
●便秘だが小口が出ると後は下痢
●小口がすごく固いのでお腹がすごく痛い
●ひどい便秘のはずが、いきなり失禁する。

過敏性腸症候群の複雑な症状の例です。人それぞれの細かい特徴が、その人の便通異常の原因を暗示しています。ここまでの説明で、これら症状がなぜ起こるかが分かると思います。

大腸がんに移行する危険

便秘と下痢を繰り返す…というのは、気滞という副産物の存在と、脾虚という体力の弱りが混在する状態です。脾虚で運化できないと湿痰をためやすく、気滞が長くどどまると邪熱を生みやすく、気滞や邪熱は瘀血を生みます。

体力の弱りがあるだけに、こうした4つの副産物 (気滞・湿痰・邪熱・瘀血) は固着化しやすくなります。4つの副産物が一つに結び付くと、癌を形成します。下痢と便秘を繰り返すものは、大腸がんに移行する危険性があることが、良く分かります。

2.邪熱…食べ過ぎの便秘

油濃いもの・甘いもの・辛いものの過食は、脾臓に邪熱をこもらせます。また、カゼなどで発熱したときも、邪熱がこもります。すると熱によって大便が乾かされ、便秘になります。

邪熱によって乾かされるのは、血である。よって大便は血虚によるものと同じく、カチカチになることがある。

 

舌の苔が黄色くなります。また、排便時に肛門が熱く感じるのも特徴です。邪熱による腹痛を伴います。

高じると虫垂炎 (急性) に移行することがあります。

脾臓にこもった邪熱を取り去る治療 (瀉法) を行います。
足三里・上巨虚など。

≫「邪熱とは」 (正気と邪気って何だろう) をご参考に。 

3.陰虚…コロコロの便秘

邪熱が長く体内に留まると、腎臓の大きな働きである陰 (クールダウンする体力) に負担がかかり、陰虚 (陰の弱り) になります。クールダウンする力が弱くなるので、油濃いものなどの過食がなくても、邪熱が退きません。ウサギのフンのようにコロコロの小さい便が出るのが特徴です。兎糞便と呼ばれます。

陰は血の原料なので、実質は血虚も兼ねている。陰虚は邪熱を生み、邪熱は血を乾かす。よって大便がカチカチになる。そのうえに便の小ささが付加されたものが兎糞便である。小さいということは陰 (形体) が弱った証候である。

 

腎臓の陰を補う治療 (補法) を行います。
照海・陰谷・腎兪・関元など。

≫「東洋医学の腎臓って何だろう」をご参考に。

4.陽虚…冷えの便秘

口から入る寒邪

脾虚 (肝鬱と関係がない) に、冷えを伴ったものです。

ヨーグルトとか果物とかが便秘に効くと勘違いしてしまっている人が多いですね。強い便秘薬を常用している人も該当します。これらはすべて冷やす作用があります。確かに、その場は効くことがありますが、便秘をしつこくすることがあり、要注意です。

 

冷えは、冷たい飲食物の摂り過ぎや、寒さによっておこります。これらはある意味、寒邪といえます。しかし、一般の寒邪は皮膚から入りますが、この寒邪は口から入ります。

冷たい飲食を口からとる。冷たい空気を口から吸う。すると口から肛門に至る管 (陽明という) が冷える。また、口から肺に至る管 (太陰という) も冷える。この を温めているのが、脾臓の温かみです。土の温かみと言ってもいいでしょう。

つねにこの管 (陽明胃・太陰肺) が冷やされると、すぐ隣にある脾臓 (太陰脾) が冷えて弱ります。熱源である脾臓が冷えて弱ると、ささいな冷たい飲食や空気にも抵抗できなくなります。「寒邪↔陽虚型」と表現すればいいでしょうか。

よって寒邪が入ります。寒邪は気滞と同じく、滞らせる働きが強い。よって便秘になります。

温かみが必要

陽が弱くなるので陽虚といいます。ただし、陽虚を起こしているのは脾臓の浅い部分で、運化のみが機能低下を起こし、制水は機能しています。

もし、脾臓全体の陽虚なら、土そのものが機能しなくなるので、下痢になります。ここで取り上げた陽虚は、脾臓の土としての制水機能は保たれているレベルのもので、下痢にはならず、便秘になります。

寒邪が気 (推動) をとどこおらせるという意味で、「肝鬱 (気滞) …ストレスの便秘」と重なる部分があります。ただし、この気滞は寒邪が原因で、ストレスが原因ではない…という違いです。

推動は温煦の助けを受けています。温かいから めぐることができる。脾臓の温かみが弱り、運化がとどこおるという病理が中心です。

陽気を補う治療 (補法) を行ない、運化機能を助けます。
足三里・中脘・気海・関元・腎兪・復溜など。

≫「東洋医学の腎臓って何だろう」をご参考に。

 

まとめ

「1.ストレスによる便秘」で、なぜ便秘になるのか、なぜ下痢になるのかを大雑把に説明しました。そのうえで、過敏性腸症候群のように、便秘と下痢の錯綜した症状についても触れました。

じつは、「2.邪熱…食べ過ぎの便秘」・「3.陰虚…コロコロの便秘」・「4.陽虚…冷えの便秘」もまた、過敏性腸症候群と関連し合います。しかし、それも加味すると説明が複雑になりすぎるので省きました。

それほど、便秘というものは複雑なのです。

便秘はあらゆる病気に伴う可能性があります。あらゆる病気とは、難治の病を含みます。便秘すら治せないでは、難治の病など治せるものではありません。そして、難治の病の病因病理はいうまでもなく複雑です。その複雑さが、便秘にもそのまま反映されると考えていいでしょう。

コメント

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました