山椒

今年の梅雨は、夏至が過ぎたにもかかわらず、梅雨寒に近い気候です。
寒くて湿気が多い。
これは自然界の話ですが、
こういうとき、人体も同じように、寒くて湿気が多い状態になります。
これを「寒湿」といいます。

自然界の寒湿がダイレクトに人体に侵入することもあれば、
ジュースや生ものを多飲多食しすぎて体内に寒湿を貯めることもあります。

また、もともと体内に寒湿がある人は、外の寒湿がダイレクトに体に侵入せずとも、内外が呼応して体内の寒湿が増えることもあります。

寒湿が増えるとどうなるか。
頭や体が重い・関節が冷えて重く痛い・気が重い・むくみ・小便が出にくい・胃痛・下痢…など。

湿気には「水のように重く下に降る性質」があり、寒さには「凝結させ伸びやかさを邪魔する性質」があります。
頭や体が重い・関節が冷えて重く痛い・気が重い…は、こう説明します。

また、寒湿は消化器を直接弱らせます。
消化器は、東洋医学では「土」に例えます。
万物を育み、栄養分や水分を保持する機能…それが土=消化器。
土がフワフワのスポンジのようなら、植物は良く育ちますね。体も健康です。
栄養分・水分を保持できるからです。
これがドロドロで冷たい土なら?
これが寒湿に侵された土。
水はけが悪く、洪水も起こりやすい。こし取れないので綺麗な地下水もできない。
だから、むくみ・小便が出にくい・胃痛・下痢が起こります。

ドロドロの冷たい土を何とかしなければ。
温め、水分を飛ばし、スポンジのような保水性と通気性を復活させる。
そんなニーズにこたえるかのように、
6月、山椒の実が収穫のときを迎えます。
自然の配合ですね。

収穫して、醤油とみりんで煮〆めました。
おお、このピリピリと痺れるような辛さ。 (≧▽≦)
生姜 (ひね生姜) と似てますね。
どちらも、消化器を温め、水をさばく働きがあります。
鍼灸なら、松尾芭蕉「奥の細道」の序文で有名な「三里」のツボ。
「三里に灸すゆるより、松島の月まづ心にかゝりて…」

西洋医学でも、山椒はよく使われています。
大建中湯、ツムラの100番です。
山椒・生姜は大建中湯の主役となる薬です。
腸の手術後の腸閉塞を予防する効果が認められ、よく処方されています。

ひとつ注意点。
山椒も生姜も「三里」も、暑気あたりでノドが乾くようなときは禁忌です。
これらはあくまでも「温める薬」。
冷えているときに使用すべきです。
熱をもっているときは逆効果。
かえって体の調子を崩します。
大建中湯で、発熱・かゆみ・皮膚が黄色くなる・腹痛など、副作用があるのは、これを勉強せずに処方するからです。
正確には副作用ではなく、誤診というべきです。
漢方薬に副作用はありません。あるのは診立ての誤りのみです。

あらゆる病気を、東洋医学では「熱」か「寒」かで分類します。
病気を治すためには、この寒熱の診断ができなければなりません。
たとえ、冷え性だと思っていても、熱が内にこもって手足に行き届かない「熱厥」と呼ばれる病態もあります。
こういう人は、温める治療をすると、徐々に体の調子を崩します。

そういえば、生姜 (ひね) は夏は収穫できませんね。
涼しくなる秋に収穫、冬が旬。
自然の配合。
難しい診断はできなくとも、
季節に合わせた生活ならできそうです。自然に逆らわない生活。
旬のものが一番有難い。

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