ホットフラッシュの治験

「更年期障害…東洋医学から見た原因と治療法」で述べたように、ホットフラッシュの原因は陰虚陽亢です。

陰虚>陽亢の場合。陰虚は陰の不足。陰とは、ここでは求心力と考えましょう。地球でいう引力です。引力が足りなくなって、上に浮揚する。浮揚するのは陽です。陽は汗となって体外に漏れます。陽=活動力。だから発汗後は力が奪われるような脱力感が残ります。

陽亢>陰虚の場合。陽亢は陽の亢進。亢進した陽は熱といいます。この熱は緊張による滞りから生じた熱。だから体にとって邪魔なものです。熱は上に昇る性質があり、それが陰の求心力に打ち勝つ形で上に浮揚します。

以下に症例を挙げます。

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51歳 女性

2年前からホットフラッシュがある。
ホルモン治療を考えていたが、友人に当院を勧められ来院。

緊張すると起こる。≫陽亢。
特に、仕事 (デスクワーク) の時はひんぱん。
夏の暑い時期は、特につらい。≫陽亢

突然、カーッとのぼせて暑くなり、首から上に汗が出る。≫陽亢
そのあと、何とも言えないしんどさが残る。疲れやすくなった。≫陽 (活動力) が漏れている。

今、問診を取ってもらっている間もカーッとして汗が出ている。ましになる日がない。

【その他の症状】
●口苦。≫陽亢
●わずかに口臭。≫陽亢
●尿の勢いがない。ここ2~3年。≫腎虚。陰の弱りが隠れていることを示す。
●両耳が聞こえにくい。≫腎虚
●熟睡感なし≫陰虚+陽亢

【脈診】
男脈。脈幅 (±) 四霊 (滑肉門・天枢・大巨) の可能性。正気 (生命エネルギー) に弱りがあって、邪気 (病理副産物) も存在し、疲れが取れにくい状態。

【腹診】
左章門に熱。≫気分に邪熱がある。
左章門の深部下方にも熱。≫営血分にも邪熱がある。
左右の章門を比較すると、左の方か邪の絶対量が多い。≫左右の章門がそろっていると、陰陽は動きにくい。どちらかに偏るということは、陰陽は動きやすい状態にあるといえる。
臍に手をかざし、空間診を行う。左下に虚の偏在。臍から見て左下によく効くツボがある
臍の左下に位置する左大巨に手を当てると、ツボが生きた反応を示している。≫左大巨が効く可能性が高い。

【舌診】
紅舌≫陽亢

【治療】
左大巨に5番鍼を直刺にて補法。≫上に昇った熱を大巨に引き下げる。大巨は陰を補い、陽を引き下すことができる。
左章門の熱が取れたことを確認し、治療を終える。さっきまでカーッとしていたが、今は何ともない。≫陽を引き下した結果、邪熱 (わるい陽) が取れた。

【2診目】
前回より7日後、来院。
前回治療から翌日夕方まで、カーッは全くなかった。それからまたカーッはある。今はカーッとしていない。

右陰谷に5番鍼にて補法。≫陰谷の効果は、大巨とほぼ同じ。2診目では左大巨ではなく、右陰谷に生きたツボの反応があった。


【3~6診】

それ以降、ほぼ一週間に一度のペースで治療。仕事が忙しいため、来院がままならない。
その間、用いるツボは左大巨、もしくは右陰谷。脈診と空間診とツボの反応により使い分ける。
ホットフラッシュは前ほど頻繁ではなく、体が楽。
2泊の研修旅行にも行ったが、しんどさは無く、親交を深めることができた。

【7診目】
ホットフラッシュの無い日が多い。今日も一日中ホットフラッシュなし。

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