立春…運気論概論

今年は運気論を勉強したいと思っています。運気論とは、季節などの外部環境が人体に与える影響についての学問で、東洋医学では必須科目です。

二十四節気と運気論

立春から始まって、大寒に終わり、また立春にもどって始まる。二十四節気です。運気論を勉強するうえで、いちばん基本になります。

二月…立春・雨水
三月…啓蟄・春分
四月…清明・穀雨
五月…立夏・小満
六月…芒種・夏至
七月…小暑・大暑
八月…立秋・処暑
九月…白露・秋分
十月…寒露・霜降
十一月…立冬・小雪
十二月…大雪・冬至
一月…小寒・大寒

このように、12ヵ月に振り分けるとイメージしやすいでしょうか。

季節の寒暑湿燥によって我々の体は 影響を受けており、それをあらかじめ考慮しておくことは、病気を治し予防する上で、重要な戦略となります。

この戦略が「運気論」です。
この運気論のなかの重要な方法論として、一年を二十四に分けるやり方。これが二十四節気です。

本ブログでは二十四節気それぞれがどういう性質のものか考えながら、病気の予測や予防に踏み込み、かつ季節の細かな移ろいをご一緒に感じたいと思います。

地球温暖化が前提

その前に…
現代は地球温暖化と言われていますが、これは地球規模で陽気過多の状態になっているからだと思います。
陽とは活動力・ヒートアップ機能。
陰とは休息力・クールダウン機能。
現代人は石油を燃やしてつくった電気で夜を明るくし、活動時間を増やしてきました。

活動>休息。
ヒートアップ>クールダウン。

地球規模での陽の過多が地球規模でのヒートアップを生み出しています。
数日前の季節外れの暖かさはそう理解すべきです。
人体もヒートアップしやすい要素が濃くなり、そういう病気が増えます。
その状況を踏まえて、今年一年も分析していく必要があります。

立春に見る物候と気候

さて、まずは立春です。
一年を二十四の節気に分ける上で、古代中国人が注目したのは、「物候」です。
今年の立春は2月4日からの15日間です。
この期間、我々の身の回りの自然は…。
うちの庭に植えてある梅はつぼみが膨らみだし、木によっては咲いているものもあります。オオイヌノフグリが咲いています。ロウバイの花はすでに見ごろで、爽やかな香りを漂わせています。こないだは窓の網戸にカメムシがとまっていました。しかも2匹 (笑) 。
これらはみな物証です。こういう物証から、今のこの時期の陰陽のありようを候 (うかが) う。そういう事象のことを物候といいます。
もともとは農耕の暦を確立するためのものです。

それに対して、気候という言葉があります。物候の対義語と考えていいと思います。
物候と気候。
物と気。

物=物質=実体。
気=機能=実用。

物質:機能
=砂糖の白い粉:甘さ
=脳:こころ
=肉体:命
これは本ブログで繰り返しご説明する通りです。

これらをふまえ、物候と気候の対比で考えてみましょう。
古代中国人は、これらをどういう概念で捉えたか。
物候。視覚・触覚的に確かに捉えられるもの。梅の花のように、写真にとることができます。
気候。視覚・触覚では捉えにくい、別の感覚で捉えられるもの。これは写真にとることはできません。

気は物を土台とする作用そのもの。実体あっての実用です。
物から気は生まれ、気は物が存在する理由です。

気候とは、気温のありよう。日差しのありよう。
つまり、あたたかさ。さむさ。
古代中国人は、これを風・熱 (君火と相火) ・湿・燥・寒と表現しました。
物候と違い、これらは形体が無く、上空にあるものです。
そこから陰陽のありようを候 (うかが) い知ろうとしました。

あたたかさ。
われわれの体も、体温がなければ屍です。
温かさこそ生命そのものです。
梅の花のほころびに感じる命の温もり。
それを地球規模で捉えたのが、物候と気候を基礎とする運気論です。
胸に抱いた3000gのわが子。そして命のぬくもり。
これは東洋医学の規模での視点です。

立春の陰陽

話を立春に戻します。
この時期は寒さのピークでしょう。しかし日差しは強く感じる。
これを古代中国人は、陽が3、陰が3の状態と見ました。

立冬・小雪は陽が0・陰が6です。
大雪・冬至は陽が1・陰が5です。
小寒・大寒は陽が2・陰が4です。
立春・雨水は陽が3・陰が3です。

実際に一番寒いのは大寒から立春にかけてなのに、意外と陽が多いです。
これは物候を観察すると説明がつきます。
特に野の草花。畑の雑草。
立春にはかなり成長して、除草も手間がかかります。
冬至…つまり12月頃から小さい草が点在しはじめるので、このころに草掃除をしておくと、4月まできれいなままで保てます。

温かさ寒さそのものよりもむしろ、温かさ寒さを生み出す根源力 (陰陽) に、視線を注いでいたのかもしれません。梅の花はこの根源力に感じて、寒い中で咲き薫るのです。この根源力を候い知るために、物候 (五運) ・気候 (六気) の二つを重ね合わせ、洞察したと考えられます。しかも物候と気候は表裏一体。気候が物候を養い育てる。物候は気候を生み出す。そういう関係です。規模を大きく考えれば、地球という物質そのものが物候です。

草木が活動を完全にストップさせるのは、立冬・小雪のころ…つまり11月です。太陽は冬至に比べるとまだ高い位置にあるので、「根源力」は太陽の高さだけでは説明できません。もちろん大きな関係はありますが。やはり、決め手は物候と気候の向こうに垣間見える根源力です。

この根源力=陰陽…を、地球に見、人体に見る。そういう大きな捉え方を東洋医学はします。

立春は「生」

一年を通して移ろう物候を5つの要素に分ける考え方があります。
生長化収蔵です。生・長は陽。収・蔵は陰。化は陰陽を分ける境界。
生…種から芽が生まれる。大寒から春分まで。
長…スクスクと成長する。春分から芒種まで。
化…陽 (生長) から陰 (収蔵) に転化する。芒種から処暑まで。
収…成長と逆。収縮して結実する。処暑から立冬まで。
蔵…生のための静止。種を貯蔵する。立冬から大寒まで。

立春はまさしく生の時期。
人間にも、いよいよ活動力が生まれる時期です。

ところが、その活動力 (陽) が停滞しやすい状態にあると、陽が3にまで高まることもあって、非常な軋轢が生じます。この時期、「木の芽時」と呼ばれるように、陽の停滞が起こりやすい。
そういう環境であることを踏まえつつ、個人個人の体質をそこに重ねて、病気の治療や予防を行う。
これが東洋医学での常識です。

ここ飛鳥 (奈良盆地の南部) では、先日までの大寒 (1月20日~2月3日) の前半一週間、寒い日が多かったです。患者さんを診ていると、冷えを受けながらも、深い部分に熱をこもらせている人が急に多くなった印象があります。専門的になりますが、大寒は主運が木運であり、くわえて去年の大雪から今年の大寒までは、在泉が風木で「生」の力が例年より強く、陽が高まりやすくなっていたと考えられます。オマケにこの時期、中運が水運大過で寒さが強くなりやすかったので、寒と陽が入り混じらず、お互いを拒んで陽が熱になって深い部分に入りやすかった…そう分析しています。

後半の一週間は季節外れに温かくなり、そののち再び寒波が来ました。

そのつながりで迎えた立春なので、陽熱が滞り、各種病変を起こしている人には注意しながら治療にあたっています。精神的にはイライラしやすいのが特徴です。そういう、良くないものも「生まれる」のです。

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