春分…花粉症の所感

二十四節気の続編、今回は春分です。
今年は、3月20日から4月3までが春分です。

この啓蟄の期間 (3月5日から19日まで) は、荒れに荒れた印象です。
ここ飛鳥地方では、3月6日から10日は季節はずれの寒風が吹き荒れ、3月15日も強い北風が吹きました。
この期間は、症状が複雑化する患者さんが多く、脈にもそれが反映されていたと思います。

風は人体を襲うと風邪 (ふうじゃ) と呼ばれます。
風は陰陽では陽に分類されます。陽は動を意味します。そういう性質があるので、風邪は容易に邪熱となります。
また、風邪は寒邪と結びつきやすい。たとえ風邪単独でも、つまり温暖な空気であっても風邪が入り込むと、それを寒邪に変化させ、風寒を形成します。

熱になったり、寒になったりする不安定さ。不安定さは陰陽で言うと、陽。これが風邪の本性でしょう。その自在性ゆえに、どんな漢方医でも頭を悩ますことがあると思います。「百病之長」 (素問・玉機真蔵論篇) ともいわれるくらいですから。

橈骨動脈を流れる血液は、肘から指先に向かって流れます。脈診でもこれを観察できますが、これと逆方向の推進力をもつ脈が脈の一部分に出ることがあります。これは風邪を示すのではないかと考えています。風邪は疏泄するからです。逆向きの流れを生むことも可能かと。一応、外風・内風、風寒・風熱・風湿を問わず、そう仮定しています。

花粉症も風邪と関わります。3月に入ってからお困りの方も多いと思います。

花粉症の基本病理は、肝気偏旺による気逆化火と飲食過多による水邪です。肝気は熱を持ちながら、水邪を鼻や目まで持ち上げることにより、鼻や目は炎症をおこし、鼻水や涙が止まらなくなります。これを踏まえたうえで、体の反応を捉える必要があります。

啓蟄の期間中、花粉症について感じたこと。

まず、診断上重要なのは行間です。花粉に反応していると、この穴処が反応してくるのを観察しています。多くは太白も反応していますが、行間の反応がない人は花粉症がハッキリしていません。

また一般的に、脈に幅があるように見えても中位で独特の潰れ方をしている人を、これは花粉症でなくとも多く見かけますが、花粉症を発症している人の多くはこの脈状を呈しており、公孫を補うと、脈幅が出て、行間・太白の反応が取れ、花粉症がスッキリすることから、これも花粉症のポイントになります。公孫で効くため、この脈状は衝脈に正気が満ちていない状態、つまり正気の繰越金がない状態ではないかと考えています。花粉症は、正気の不足が大きくかかわるということです。この脈状は、いわゆる毛脈に似た脈で、毛脈は秋の脈と言われます。春に秋の脈が出るのは、相克関係となり、よくないのかもしれません。

これらに風熱が加わった状態、これは非常にきつい花粉症で見られます。藤本蓮風先生は、外感の風熱には内関・外関のベア取穴が効くとおっしゃっていますが、風熱のからんだきつい花粉症にも非常によく効きます。この風熱は独特で、外感表証とは少し特徴が異なります。やはり、ウイルスではなく花粉、ということでしょうか。運動OK、入浴OK (湯冷めはアウト) で、気色でもとらえにくく、外感病とは少し違います。今のところ、脈でしか判定できていません。ちなみに、春分の日あたりから花粉症の穴処の反応や脈の出方が変わったような印象です。書けるようなことができたら、また書きたいと思います。

花粉症でなくても、風熱の影響を受けている人は多いと感じます。外感病ではなく、雑病で。この場合、雑病の弁証を行い処置すると、風熱が取りやすい位置まで動くので、これを手の井穴の刺絡でとるのが有効だと思います。これも運動も入浴もOKで気色にもでません。外風の影響を受けて内生の風邪が助長され、もともとある内熱が風にあおられ強くなる…火は風が吹くと余計激しく燃えますね。そういう病理を描いています。内生の風熱です。多くは心火のような形で、もともとある症状を騒がしくしている印象です。

営血分の熱が主要矛盾で、今すぐそれを取らなければならない状態の方も、啓蟄で述べたように、引き続きよく見かけます。

もちろん、風寒や内生の寒邪もチラホラ見かけます。風邪は寒邪を生むからです。また、風邪の影響を受けていなくても外寒の影響で内寒が生じたりもします。まあ、簡単に言うと北風が吹いて寒かったですから、寒邪も見られました。

このように今年の啓蟄はかなり複雑な時期でした。木運不及の年、しかも司天が陽明燥金。巽風の卦のとおり、激しく出ます。よって春分もこの傾向が続くという気構えが必要だと思います。

以上、そう感じました。そういう印象です。

体にもともと不調のある人は、容易に風邪で体調に異変をきたします。もちろん影響を受けにくい人もいますが。

予防としては、風の強い日は出歩くことを控えること。適度な散歩は体力を作るのに非常に有効ですが、強い風の日は散歩をしないこと。患者さんは外から来院されるので、風がどの程度吹いているか知っておられます。でも僕のように、室内で患者さんばかりに一生懸命になっていると、外でどの程度風が吹いているか気づかぬままに一日が終わってしまいます。患者さんが知っていて先生が知らないとは言語道断。その反省から、僕の席の窓の外に風車を設置しました。百均で売ってるキラキラのやつ。これで風が吹いているか一目でわかる。何よりも二度とうっかりしないようにという鉄槌です。クルクル回っていますが、設置した本人は至って真剣です。けっして変な目で見ないように。

風の日の活動を控えるよう指導し、治療を終えるとき風熱を残していないかを注意することで、全体的に経過が安定しています。

今年の春は、本当に風に注意です。

そんな寒風吹きすさぶ気候のなかでも、物候は着実に春らんまんに向かっています。ラッパ水仙・沈丁花・フキノトウ…つぼみが膨らんでくるもの、開花しはじめるもの。冬の殺伐とした風景は、今や変わる寸前。

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