穀雨

二十四節気の続編、今回は穀雨です。
今年は、4月20日から5月4日までが穀雨となります。
桜の花の見ごろは過ぎ、かわりに木々の新緑がいっせいに芽吹き始めました。
庭に植えてあるアケビも堰をきったように芽を伸ばし葉を並べます。]紫色の花がたくさん咲いていますね。
ワラビ・タケノコなどの山菜も一気に活動的になり、自然界が本格的な活動期に入ったことを実感させます。
これらの事象はすべて物候です。
これら物候と人体は底でつながっています。実は人体も活動期に入っています。

さて、肌で感じる暑さ寒さの気候よりも、視覚的に捉えられる物候の方が、時候の羅針盤としては確かです。
古代中国人は、この物候を非常に重んじ、それを基礎として二十四節気を作り、農歴を作りました。

農歴を作るのは、実に大変なことです。
そのためには天体観測から自然現象の分析から、あらゆる自然科学の研究が必要となります。そのなかでいろいろな学問が発達しました。
東洋医学もその土壌で生まれ、発展してきたと考えられています。だから東洋医学はミクロコスモスとしての人体生命を如実に映し出しています。
農耕民族が生んだ東洋医学。

対して、狩猟民族。動物を狩り、解体し、食す。
その過程で、骨格・筋肉・内臓など、肉体的組織に精通していきます。
西洋医学の基礎はここから生まれたとも言えます。
東洋医学と西洋医学の本質的な違いを比較する面白い視点だと思います。

西洋医学は物質を基礎にしています。
東洋医学は機能を基礎にしています。

文字の発達も刮目すべきものの一つです。農作物の栽培記録を残すためには不可欠。事象や概念を一度に多くの他人に伝えることが可能になり、巨大文明の基礎となりました。
この文字が、東洋は独特です。一つ一つの漢字に意味を持たせる方法は、アルファベットの並び方で意味を持たせるやり方とは、また異なります。象形文字である漢字。その姿によって意味をイメージすることは、アルファベットの並びでは得られがたい、視覚を通して概念を象徴化する力があると思います。一字で意味を表現することによって、そういう能力を古代中国人は鍛えてきたのでしょう。それは機能 (気) を認識する能力に他なりません。漢字を使う東洋人はそういう能力にたけていると思います。

物質は実体。
機能は実用。
実用こそが本質です。
機能を認識する力は、物事の本質を見抜く力です。
漢字の姿は実体。意味が実用です。
この姿が一つ一つ違う。
漢字を一個一個覚えるのは大変ですけどね。

話を戻します。
物候は のどかそのものですが、気候はアップダウンが激しいですね。暑くなったり寒くなったり。
これは人間でいうと、情緒不安定。おちつきがない。
さっきまで笑っていたのに、すぐ怒り出す。泣く。
気候も情緒が不安定になっているんです。
こういう時期は病状も安定しにくい。

何もかもが不安定です。

そもそも、不安定とは?
土台がない。これです。

土台がないものは、得てして上滑りになりやすく、すぐ調子に乗ったり落ち込んだりします。
こういう状態が、大自然の大きな規模でみられ、
人体の小さな規模でも見られます。
大自然と人体は相似するからです。
古代中国人は農耕社会を築きながら、この事実…相似関係に気づいたんです。

今年は木運不及です。不及とは、すなわち土台がないこと。なので気候は変化が激しい。治療においては、土台である肝血の不足があるため肝が不安定。肝がいきり立ち、脾の弱りが水面下でひどくなっています。肝が落ち込むと脾の弱りが表面に出ることも。

清明期間中は、肝を和め、脾を助けることがとても重要だと思います。臓腑のバランスを取った後、手の井穴を軽く瀉法する必要があることが非常に多いです。安定しにくい病状を安定させる方法はいろいろありますが、井穴は使用頻度が高いです。一般雑病ではもちろん、花粉症も今はこれで対処する場合が多く、行間もしくは少府の邪がとれたことを確認し、治療を終えるようにしています。

人体における土台とは、この場合、肝血。
では大自然における土台とは?
地球温暖化の原因を解決しようとする我々の覚悟と決意…なのかもしれません。

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