大暑…暑気あたりの予防

二十四節気の続編、今回は大暑です。
今年は7月23日から8月6日までが大暑です。

1年を6つに分けた六気。その6つを半分に割った上半期は、大寒から始まって大暑で終わります。下半期は大暑から始まり大寒までです。今年の在泉は少陰君火であり、下半期は火気が強くなることになります。長い夏、そして暖かく推移する初冬となるのかもしれません。

それを予感させるようなこの暑さ。結局、ここ飛鳥地方では梅雨がない6・7月でした。大暑となると暑さは本番となりますが、もうすでに本番を乗り越えたかと錯覚する暑さの小暑でした。これでは、もうひと夏を乗り越えなくてはなりませんね。

夏は暑いのが自然で、暑くないといけません。暑くなければ植物が育たないように、人間を含めた動物も体力のレベルアップができません。外気の陽気が高まると、自然の一部分である動植物の陽気も高まり、活動的になります。しかし、暑さも度を超すと動植物にとって邪魔もの (邪気) になります。暑さが過度で邪気化したものを暑邪といいます。今年は暑邪が特にきついということです。暑邪はもともと火の性質を持っています。いったん火が付くと猛烈な勢いで、スピードがある。

お城に外堀・内堀があって、外敵の襲来に備えて本丸をまもってるように、体にも、衛分 (外堀) ・気分 (内堀) という障壁があり、体の深い深い血の領域である営血分を守っています。この営血分が本丸に当たります。ところが、先程いうように、暑邪は速攻が得意。その上、今年の暑邪はきついので、その勢いが激しい。本丸をやられないように気を付けなければなりません。

暑邪が城に直接攻めかけ、衛分や気分で戦争が起こると高熱が出ます。銀翹散証・白虎湯証です。しかし、暑さにやられる場合、それは一般的ではありませんね。おとなしく、いつの間にか忍び込んで牙城を崩そうとします。しかし暑邪は、力自慢だが、忍び込むというような器用なことはできません。どうやって忍び込むのでしょう。ある曲者と手を組むのです。この曲者は非常に器用しかも狡猾。

まず、ほとんどの人が気分にもともといくらかの熱を持っています。現代社会はストレスと過食の世の中。ストレスも過食も気分に熱をこもらせます。熱は上に昇りやすく、精神活動の中心は上半身にあるので、そこに熱がこもると「こころ」に波風が立ちます。その風を風邪 (ふうじゃ) と言います。風邪は衛分という外壁にある小さな隙間から行き来し、外の暑邪と結びつきます。暑邪は風邪の開けた風穴を使い、気分にもともとある熱と一体化して、気分の熱をさらに強くします。風邪は衛分だけでなく、気分・営血分にも忍び込み、暑邪が入りやすくします。

ここで同時に、気分の熱は気 (機能・元気) を弱らせます。実は、衛分や気分という堀や城壁は気で作られているので、これが弱ると心身ともに元気がなくなるばかりか、城の防御そのものが手薄になります。防御ができなければ、ますます風邪や暑邪の蹂躙にまかすばかりとなる悪循環が始まります。お城が危うくなってきた!

気分の熱が強くなるということは、本丸のすぐそこまで戦火が押し寄せているということです。当然営血分は潤いという戦力を失い、気分の戦線に兵隊を送り込めなくなります。この状態が続き、もし、気分という内堀が持ちこたえられなかったら、暑邪は本丸である営血分に入ってしまいます。暑気あたりでこうなると回復に非常に時間がかかってしまうし、場合によっては命の危険もある。そのためにも気分の段階で食い止めることが大切です。

急に暑くなるとき、多くの人が体調に影響が出るのは、急な暑さが風邪を生むからです。天気が急変するときは必ず風が強くなります。だから暑邪にやられる人が多い。この風邪は外の風なので外風です。しかし、暑さが安定しているのに急に暑邪にやられるのは、体の内部で起こる風邪…内風の影響だと思います。内風を生み出す暴飲暴食は慎み、ストレスになる考え方を反省して頭を冷やさなければなりません。早起きして散歩もいいですね。内にこもった熱を発散し、内風の発生を防ぐからです。それと同時に気が養われ、心身ともに壮健になります。

堅苦しい話になりました。視点を変えましょう。

夏に収穫できるこの時期ならではのお野菜。スイカやキュウリ、ナスやトマトなどは、気分の熱を冷ます働きがあり、水分を補給し営血分の潤いを守る力があります。自然の配合ですね。特にスイカは「天生の白虎湯」と称されるほどの佳品で、夏を乗り切るためには非常に効果的な食材です。白虎湯とは炎暑の季節の高熱に処方する代表的な漢方薬です。

ただし、そんなスイカも冷蔵庫で冷やして食すると胃腸を冷やして体調を崩す原因になりかねないので、常温でいただくようにしてください。もっというと、冷たいものが急に体内に入ると、体内の熱とすぐに入り混じらず、反発しあって「風邪」が生じます。あとは上記の通り。この病理で起こる熱中症は少なくないと思います。クーラーで過度に冷やし過ぎても同様で、クーラーの部屋に少しいるだけでだるくなるという人は内風を起こしやすい傾向かもしれません。それから常温でもスイカの食べ過ぎにはご注意を。無理に食べると水邪となって体に負担をかけますので。

さて、スイカを実際に栽培していて気づくことがありました。

スイカは一株で実をつけられるのはせいぜい3つか4つくらいで、それ以上つけると養分が散らばって大きなスイカができません。なので余計な実は見つけ次第つみとってしまいます。つみとった実の中に直径20cmくらいの実もいくつかあったのですが、それを捨てずにスイカの葉陰にそのまま放置してありました。それが6月下旬のことで、その1か月後、もういい加減どけて処分しようと思いその実を拾い上げると、腐っているかと思いきや、堅くシッカリしていて、緑のシマシマもそのまま。もしやと思い割ってみると赤いし、みずみずしいし、いい匂い。種も黒い。未熟でまだ中身はキュウリのように白かったはずなのに。食べてみるとそこそこ甘くて美味しい。

実自体の緑色で光合成して糖を作ったのか? いや、それ以上に驚いたのは、1か月も夏の日差しにさらされて、なおグニャグニャにならず、パリッとした新鮮さを保っているといこと。水分を保持する力がものすごい。割れてしまうと数時間で腐ってしまうのに、ヘタを断たれたくらいでは1か月たってなお成熟し続けている。弱々しいと思っていたスイカは、想像以上にタフでした。キュウリやトマトでは考えられないことです。

このタフさが「天生の白虎湯」と言われるゆえんなのかもしれません。暑気あたりや、その予防に効果が十分期待できます。夏の炎天下に十分抗しうる水。固い殻は衛分・気分の城壁の堅固さを思わせ、中の真っ赤なみずみずしさは営血分の潤いを彷彿とさせますね。

おあとがよろしいようで。

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