カゼの養生食…傷寒論から学ぶ (2021大寒)

当たり前のことですが、ウイルス感染は誰もが起こす可能性があり、それは新型コロナに限ったことではありません。熱があるとき、どんなものを食べればいいでしょうか。カゼを引いたときの養生食が分かれば、少しのどが痛いかな…という時にも、予防につながるはずです。

「傷寒論」を紐解いてみます。

傷寒論とは、西暦200年ごろに張仲景によって書かれた古い書物です。東洋医学では「黄帝内経」に匹敵するバイブルのような存在です。

傷寒論にはたくさんの方剤の説明がありますが、最初に出てくるのが「桂枝湯」というカゼ薬です。この桂枝湯についての説明の条文に、補足書きがあり、食養生について触れています。他の方剤の条文にも「桂枝湯のごとくにせよ」という補足があり、全般に言えることなので、その食養生を紹介したいと思います。

推奨されているのは「おかゆ」

…服已、須臾、歠熱稀粥一升余、以助薬力、<傷寒論>

服用し終えたら、須臾 (すぐ) に熱くて薄い粥 (かゆ) を歠 (すす) る。すると薬力を助けることができる。

張仲景は、おかゆを推奨しています。

むかし「サザエさん」で波平さんがカゼを引いたとき、おかゆを食べているシーンがありました。
入院食もおかゆが出ますね。最近はパンが出るところもあると聞きますが。

おかゆは消化が良く、旨味が少ないので食べ過ぎることがありません。よって、脾臓 (後述) に負担をかけません。それのみならず「穀気」と呼ばれる元気のもとを補充することができるので、体を温めて適度な発汗を促します。「氣」という字に「米」と書くのはここに由来します。

禁じられているもの

禁生冷、粘滑、肉、麪、五辛、酒、酪、臭悪等物、<傷寒論>

以下のものを禁止する。
生もの・冷たいもの、粘りけがあってツルツルするもの、肉、小麦製品、ピリ辛のもの、酒、乳製品、汚臭のするもの。

以上のものは脾臓に負担をかけます。

脾臓とは東洋医学の概念で、消化吸収して体力に変える機能のことを言います。

その体力の余りは、外からやってくる外邪を防ぐバリアになります。

外邪って何だろう をご参考に。

このバリアのことを衛気といいます。脾臓が弱ると衛気が弱ります。衛気が弱るとカゼを引きやすくなったり再感の危険を増したりします。だからカゼのときは、こういうものを食べてはいけませんよ、という話です。

詳しく説明します。

生冷

当時は冷蔵庫のない時代です。常温が冷たいものになります。だから生食はすべて冷たいものになります。

冷たいものは脾臓を弱らせます。

ウイルスは熱に弱いので、その意味でもよくありません。温かいものを飲食するのが基本です。
ただし、熱い飲み物を一気飲みすると、急激に熱が上がって気分が悪くなることがあるので注意しましょう。ゆっくりなら大丈夫です。

粘滑

ネバネバ・ツルツルのものは、よく噛まずに食べるので脾臓に負担をかけます。

うちの子が小さい時でしたが、とろろご飯を食べさせたところ、喜んで普段の倍食べて、すぐに全部吐きました。こういうのは噛めないですね。

邪熱を起こす原因になります。

邪熱とは をご参考に。

邪熱は脾臓を弱らせます。

また邪熱が起こると、陰に負担をかけます。陰弱を引き起こしたり内風を起こしたりして外風を受けやすくします。複雑なカゼにしてしまいます。

内風とは をご参考に。

また体を動かさずに栄養ばかり摂ると、さばききれずに脾臓に負担をかけます。

麪とは麺のことで、麺のもともとの意味は、小麦粉から作られる加工食品のことです。メン類、パンや粉ものも含みます。

口当たりがよく、つい食べ過ぎてしまうものは病人食に向きません。粥を推奨して麺を禁じているのは、加工の仕方によって食べ過ぎるか食べ過ぎないかが変わるからでもあります。

おかゆを食べ過ぎることは少ないですね。

たとえば、白いご飯でごちそうさまにした後、メン・パン・粉ものならまだ食べられます。逆にそれらでごちそうさまにした後、白いご飯が食べられるでしょうか。

食べ過ぎると脾臓を弱らせます。

五辛

五辛とは正確には、ニンニク・ラッキョウ・ネギ・タマネギ・ニラのことですが、ここではピリ辛のもの全般と解釈を広げます。ネギは僕の経験では問題ありません。

中医学では、邪熱を起す一因として辛辣な食べ物を挙げます。邪熱による影響は、肉とおなじです。

これも邪熱を起こします。

乳製品のことです。湿痰を生じて脾臓に負担をかけます。

湿痰とは をご参考に。

臭悪

腐ったものや一部の発酵食品です。湿痰を生じて脾臓に負担をかけます。

備忘録

ここ最近の気づきを記しておきます。

前回 (冷えを取る方法 (2021小寒) ) に引き続き、合谷に湿痰の反応があり、豊隆の面積が大きく、治療穴は右内関が多いことが特徴である。1月初旬くらいまで、内関の後に右脾兪・右胃兪・右膈兪など、湿痰に関わる穴処を瀉法するケースがあったが、1月10日くらいから不要あるいはできない。

1月16日。すべての患者さんで、治療後の脈がやや細いことに気付く。正気の虚が補い切れていないとみて、太白・公孫・足三里・太淵・合谷などの反応に注意したところ、右太淵に生きた反応があった。右太淵に金製古代鍼をかざすと、脈が太くなり胃の気に満ちた脈となる。ただし、これで平脈となるため、右脾兪などの瀉法が不要あるいはできない。

1月18日。右内関と右太淵の2穴になっているのが気に入らない。ツボはできるだけ少なくした方がよく効くからだ。右内関抜鍼時に浅い部分 (肺の領域) を補ってみると、太淵を使わなくても平脈になった。また、こうして1穴にまとめるようになってから、右脾兪などの瀉法ができるケースが得られるようになった。

この手法で、胸痛 (心筋梗塞) を起こしているものに、右内関・右脾兪の鍼をしたところ、その場で痛みが取れた。翌日来院時も痛みは再発していない。

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