立秋…脾兪と新型コロナ

猛暑となりました。

気候不順は今年に限ったことではありませんが、今年は今年で変わった気候が続いています。ここ飛鳥地方で思い当たったことを並べてみます。

まず暖冬でした。そしていつまでも寒い春。それから雨の降らない春から初夏でした。そして梅雨の掛け声とともに連日の雨。梅雨寒が7月下旬まで見られた一方、六月中旬には季節外れの蒸し暑さがありました。もちろん雨降りとともに…。そこにコロナが加わります。コロナはもっとも変わった「気候」といえるかもしれないですね。

8月に遅い梅雨開けを迎えて夏空となり、昼は猛暑ながら、夜はまだ寝やすい気温でヤレヤレと思っていたのもつかの間、10日からは寝苦しい夜となりました。

そんな中、臨床では、頻用していた右外関が反応しなくなりました。7月から外関を用いることが少なくなり、かわりに肩髃・風池など、陽蹻脈を示唆するような穴処が反応し出していました。

ここ最近はそれらの穴処も反応しなくなり、さがしてみると左脾兪に反応が多くみられるようになりました。

この左脾兪は、督脈を動かす意味合いが濃いと考えています。督脈と後天原気を一度に動かしているのです。そもそも、陽維脈は督脈と瘂門・風府で交会しています。両者はつながりが深いのです。ちなみに、陰維脈も任脈と廉泉・天突で交会しています。

8月に入り、陰陽の交代が行われる時期が近づいてきています。秋分です。秋分を境に、昼夜の時間が逆転します。陽が主の時期が終わり、陰が主役としてステージに立つのです。その交代をスムーズにするために頑張っているのが督脈ではないかと思うのです。

陽維脈と陰維脈は交会しません。陰陽関係にありながらも、たがいに他を意に介せず、独立した立場を貫くかのようです。

督脈は任脈と輪のようにつながっているのはご存じの通りです。陰陽の交代は任督が支配するのでしょう。陰というステージ・陽というステージを築いているのは両維脈で、まさに綱維としての役割なのでしょう。綱維とは、陽維脈で言えば「陽を容れる器」と解釈しています

器とは、かなり物質的なもので、陽の器が陰の器に変化する…という変幻自在なものではありません。陽の器はどこまで行っても陽の器なのです。空はどこまで行っても空であることと似ています。これが、両維脈が互いの交会穴を持たない意味であろうと思います。

つまり、秋分にきて、陽維脈が急に陰維脈に変わるのではなく、陽維脈とつながりの深い督脈が橋渡し役となって、任脈とつながりの深い陰維脈にバトンを渡すのではないかということです。

さて、殊に今年は陽維脈の取穴である外関をよく使いました。これは、いつまでも我々の体の「陽を容れる器」が大きくなれなかったことを示唆します。

大きい器にはたくさんのものが入ります。

大きい陽の器には、たくさんの陽が入ります。その陽はやがて陰に転化し、大きな陰の器をつくり、たくさんの陰が入ることができます。質の良い睡眠 (陰) が質の良い活動 (陽) を生み、その活動がまた睡眠につながるのと同じことです。

暖冬により陰を容れる器が小さく、そこに入る陰が不足し、真陰は不足し、あふれた陰は寒湿化し、春分とともに、陰が陽に転化するが、もともと陰不足からの転化なので大きい陽の器になれず、真陽は不足し、余った陽気はその器に入りきれずに邪熱となります。

この陰陽の場の小ささが、急に暑くなったり寒くなったりの不順を生み、よって陽を容れる器はいつまでも大きくなることができず、外関の使用頻度が高くなったと思われます。

もうあと1か月ほどで陰維脈が主役になるにもかかわらず、まだ陽の器が成熟しきらない。そこで反応してきているのが脾兪なのでしょうか。

陽維脈が成熟しないのは、樹木が夏になっても葉が茂ってこないことと同じです。

日差しが強くとも葉が茂っていれば影ができます。影とは陰です。葉が茂らないとせっかくの日光を正気 (陽気) とすることができず、それはかえって邪熱になり、土に照り付けて乾かしてしまいます。すぐに症状には出なくとも、徐々に影響が出ていきます。そして葉が茂らないままに秋を迎える。冬の封蔵は…。来春の芽吹きは…。

後天の元気を強化しながら、陽の器とそれを満たす陽を補うことの重要さです。

同時に瀉法の重要性も増しています。おもに邪熱・気滞がターゲットで、右百会・右後渓・右合谷・左章門などを多用しています。

コロナという複雑極まりない「気候」はどうなるのでしょうか。秋以降のコロナの動向を読みつつ、今のうちに後天の元気を補い、陽が主役のうちに陽を成熟させなくてはなりません。でなければ、秋分を迎えると、こんどは陰を容れる器が小さい状態となります。陰が入りきらずに水邪を生むでしょうし、陽気を制御できずに邪熱を生むでしょう。これらはコロナの喜ぶものばかりです。

全体としては陰の不足で燥状態となり、症状が自覚できない。コロナがたどる最悪の結果は、肺炎を自覚できない肺炎が起こることだと言われます。

秋分まで、そう時間はありません。

今なすべきこと。

日のある間の適度な運動。
腹八分目。
温かい飲食。

くわしくは、「自分でできる4つの健康法 …正しい生活習慣を考える」をご覧ください。

コロナ対策を徹底した結果、運動不足になる、クーラーの部屋に閉じこもり、飲食の不摂生がひどくなる、昼夜逆転し夜の活動が増える…。

それにしても、コロナとの付き合い方は気を付けるべきです。コロナばかりに気を取られて、大切なことがおろそかになってしまうと、本末転倒になりかねません。本末の「本」とは、命を守ることに他なりません。本も大切、末も大切。ただし、本が主であることを忘れてはなりません。

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