
12月15日、それまで12月としては比較的暖かかったのとは一転、北風が吹き寒くなりました。翌16日は、一層強い方風が吹きすさび、驚くほど寒い日となりました。
16日は休診日で、翌17日以降の話です。診察に当たっていると患者さんの体調そのものは大きな変化のない方が多かったですが、体の反応が大きく変わっていました。
陽池・陰陵泉に反応
まず、秋からずっと反応がみられた合谷の実の反応が、半数以上の患者さんで、急に診られなくなり、かわりに陽池に実の反応が見られるようになりました。陽池の実は冷えの反応であると捉えています。
人間の体はほとんどが水です。ですから、急な冷えがくると、水邪を生じやすい。その反応が陰陵泉に見られました。陽池と陰陵泉に反応がある人は、寒くなってからの新たな症状を訴えられるケースが多かったと思います。
水邪は湿痰とほぼ同義です。正気と邪気って何だろう▶湿痰とは をご参考に。
陽池に反応はあっても、陰陵泉に反応がない人もいます。そういう人は、こんなに寒くなっていても体調に影響は見られませんでした。平脈ではないので完全に健康だとは言えませんが、なんとか季節に対応した体の反応であると思います。
この変化が見られた人は、左右の背部兪穴が同時に病む「疲れが押入れに入る」状態はみられませんでした。
陽池・陰陵泉に出ないケース
この変化が見られず、依然として合谷に実の反応がある人は、「疲れが押入れに入る」状態でした。左右の背部兪穴が両方実で病んでおり、右太白・右公孫あたりが虚しています。
このケースでは寒くなったことでの悪化はありません。「疲れが押入れに入ってますね」と一声かけると、合谷の反応は消え、かわりに陽池の反応が出て、左背部兪穴の反応も消えるのが常でした。
疲れが押入れは入る…は、小雪…隠れた疲労と新型コロナ をご参考に。
中にはこんな方もいました。16日に悪寒と発熱が起こり、翌日には熱は下がったものの、上半身の鋭い痛みが取れません。陽池には当然反応が出ています。陰陵泉を探ると、反応がない。おかしいなと思っていろいろ探っていると、右復溜に虚の反応が出ていました。右内関に鍼をすると、20分後には上半身の鋭い痛みは和らいだとのことでした。
右内関を多用
この方に限らず、この期間の治療穴は、ほとんどが右内関です。
陰維脈を用いて陰の器を大きくし、冷えや水邪という陰邪を、正気としての陰に変える。これで陽池も陰陵泉も反応が消えています。器に入る陰は正気であり、器に入りきらない陰は邪気になるのです。激しい寒波と言えども、器が大きければそこに入りきるので、正気としての陰 (落ち着き) になるのです。
陰の器が小さいために、体調を崩すケースが多いのでしょうか。
もしそうだとすると、一番大切なのは睡眠でしょう。早く床に着く。暗い間 (陰の時間帯) の睡眠時間が大切です。冬という日の短い、陰気の強い時期は、とくに陰を多く取り込む必要があります。陰とは「落ち着き」です。
新型コロナの流行に備える
毎年のインフルエンザの流行のピークが、年明けの1月15日くらいだとしましょう。それをコロナに重ね合わせると、潜伏期間が二週間と言われますから、1月1日前後に感染するということになります。
クリスマスから正月休み…。
ぼくは、コロナが一番喜ぶ環境は、浮かれて飲食したり、浮かれて夜更かししたりすることだと思っています。夜の繁華街はこの両方が当てはまります。そして、正月前後は、この状態に国民全体がなりやすい。
年末年始の養生 をご参考に。
腹八分目。早めの就寝。この二つがキーワードだと思っています。
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