三焦とは

たいへんいいご質問があったのでご紹介します。

【質問】
三焦とはなにか。西洋医学的な見方をしてしまうためか、分かりづらい。

【回答】
これは東洋医学でも見解がまとまっていません。僕に分かるだけのことしかお答えできませんが、やってみます。

三焦は水の流通機能

まず、三焦は六腑の一つです。六腑というのは、口から肛門に至る管と、口から膀胱に至る管のことを言います。

夫胃大腸小腸三焦膀胱.此五者.天氣之所生也.其氣象天.故寫而不藏.此受五藏濁氣.名曰傳化之府.此不能久留輸寫者也.<素問・五藏別論11>

口から肛門の管は分かりやすいですね。でも口から膀胱の管って?

東洋医学の視点は物質ではないので、管もただの管ではなく、流通機能を指します。そう考えると、口から膀胱にも管があるのです。しかしその管は毛細血管やリンパ管、それから細胞膜から染み出た体液まで、すべての流通機能を指します。…これってもう、全身ですよね?

そうです、三焦とは全身のことを言います。だから三焦は上焦・中焦・下焦に分けられるのです。

人体は上から物が入り、下から出ていく。この機能を究極まで単純化すると、バウムクーヘン(輪切りにする前の) みたいになります。チューブと言ってもいいです。そこを水 (栄養分を含んだ) が通るのです。

三焦者.決瀆之官.水道出焉.<素問・靈蘭祕典論8>

当たり前ですよね。人体は栄養分を含んだ水の塊と言ってもいいくらいですから。

温かさで水を保持

ただし、その水が全部、下から抜け落ちてしまったらどうなるか。命がなくなります。そこで、三焦は温めて上に水を水蒸気みたいに持ち上げて、全部が下から漏れ出てしまわないように調節しているのです。

水穀皆入于口.其味有五.各注其海.津液各走其道.故三焦出氣.以肌肉.充皮膚.爲其津.其流而不行者.爲液.<霊枢・五癃津液別36>

この働きって、腎陽とよく似ていますね?

どう違うんでしょうか。

人体を地球のような球形と見たとき、このヒートアップする働きは腎陽 (命門) と呼ばれ、生命の本質である「温かさ」を支えます。

人体を水の通り道である管 (バウムクーヘン) と見たとき、このヒートアップする働きは三焦と呼ばれ、生命の本質である「温かい水」を保持します。

球と管については「三陰三陽って何だろう」の図をご参考に。

上焦・中焦・下焦で温めた結果、蒸気は上に昇り、下は蒸気になり切れなかった水が下り、中は上にも下にもいかないで保持する姿が見えてくるでしょうか。

黄帝曰.善.余聞上焦如.中焦如 (あわ) .下焦如 (みぞ) .此之謂也.<霊枢・營衞生會18>

三焦は枢

三焦は少陽です。少陽といえば胆もそうですね。少陽は枢 (チョウツガイ) です。開け閉めを調節する。

三焦ならば水道の開け閉めです。蒸気として皮膚から噴射するか、それをちょっと緩めると下から流れ落ちるかになります。これが「決瀆」<素問・靈蘭祕典論8>」です。瀆 (みぞ) を決める。

胆ならば邪気を皮膚を開いて汗として出すか、腸の方に閉じ込めて大便として出すかを調節します。

汗も大便も栄養を含んだ水であると見れば、三焦と胆は一体となって体液に混じった邪気を外に出そうとしている姿が見えてきます。

腎間動気と重なり合う

こうしてみると、三焦は全体を、どの程度に温めて水を出す方法を調節するかを高次から監視しているとも言えます。高次と言えば、腎ですね。

上下のない球形としての生命は、中心核のコアです。これが求心力と遠心力を握っています。求心力はコアを温め、遠心力はコアの温かさを拡散します。

上下のある管状としての生命は、管から下に流れ出ようとする水を、上に持ち上げる温かさです。下から流れ出すぎるでもなく、上から噴射しすぎるでもない、水を管の中に保持する働きです。求心力と重なることがわかるでしょうか。

所謂生気之原者、謂十二経之根本也、謂腎間動気也、此五蔵六府本、十二経脈之根、呼吸之門、三焦之原、<難経・第八難>

腎間動気とは、陰静から陽動へ転化した瞬間をいいます。この瞬間が絶え間なく連続して生命は維持します。陽動とは生命の持つ温かさとも言えます。これを難経は、三焦之原と重ね合わせています。三焦の原とは、三焦 (全身) の根本、つまり温かさです。

球形と筒状は重なり合うのです。

こういう話になると長くなります。まだまだ深い世界があります。

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